小林人


活動を通して出会った仲間・ 酪友が一生の宝

 「身に余る光栄。主人や関係者の理解があったからこそ、できた活動です」
6月27日、内閣総理大臣官邸で行われた『平成23年度男女共同参画社会づくり功労者内閣総理大臣表彰式』で、酪農を営む加藤エミ子さんが表彰を受けた。  男女共同参画の推進に貢献してきた人を顕彰するもので、今年はエミ子さんを含め、全国から9人が受賞。県内で3人目となる。

エミ子さんは、21年にわたり、小林市酪農青年女性部会長を務め、西諸県地区、宮崎県、九州、そして全国酪農青年女性会議の委員長等を歴任。また、女性ネットワークの形成(西諸県地区農村女性会議の設立)や、政策等の決定過程へ女性登用を推進する働きかけ、JAこばやし初の女性理事就任、理事の女性特別枠確保など、その業績は枚挙にいとまがなく、全国の女性農業者の経営参画・地位向上に尽力してきた。

エミ子さんは、昭和20年に畜産を営む家庭に生まれた。学校を卒業後、市内の民間会社に就職。昭和44年にJA職員で技術員の祐喜さんと結婚、3児をもうけた。結婚してから3年後、祐喜さんの実家である酪農を家族で継いだ。
勤め人から一転、酪農を営むことになった中で、健全な経営を続けていくために「経営の場では、夫婦が対等でなければならない」と想いを強めた。当時は、経営に関して夫が強い決定権を持っているのが常。しかし、夫の祐喜さんは「ぶつかることは多いが、結果的に経営改善につながる」と理解を示した。
また、農業で食べていくためには、組織の充実が不可欠と判断。エミ子さん自ら数々の組織に入り、役職を務めることになる。
組織の役を背負うと、家族を犠牲にしなければならない部分もあった。夫婦がお互いに理解を示せたからこその活動であった。
祐喜さんはエミ子さんを「自分の主張も言うが、人の話も聞く。前向きに意見が言える人」と評する。そして「頑張り屋さんの良い奥さんをもらった」と、最高の賛辞を贈った。

今後は一線を退き、後継者育成に移る方針。「『功労者』という言葉のとおり、後進に道を譲る立場。後輩への協力は惜しみません」
エミ子さんは、次代の担い手を後押ししながら、女性の社会参画の可能性を広げ続けている。
(「広報こばやし」平成23年8月号掲載)