小林人
祖父・父が守ってきた土地も継ぎ、また次の世代へ-
寒干大根の生産が最盛期を迎える師走。今年も西小林に昔ながらの「大根やぐら」が姿を現した。やぐらに大根を吊るし、寒風にさらす「大根の寒干し」を行うのは、親子3世代で農業を営む大山さん一家。農業を始めて70年になる祖父の茂さん、周りから「高倉健さんのよう」と慕われる仕事人の父薫さん、さまざまな団体で活動する活発な母竹子さん、そして、勉強熱心で家族愛にあふれる息子功師さんの4人だ。
「自然と農業を継いでいました。祖父・父が守ってきた土地も大切にしたい」という功師さんに対し、「私たちが1日でも長く現役でいて、手助けできれば」と竹子さん。他ではまねできない家族ならではの信頼感とチームワークが、限られた人数で自慢の大根を世に送り出す大山流農業の基礎となっている。
そもそも一家が農業を営む南西方は、恵まれた土壌や気候に加え、霧島から吹き降ろす冷たい風「霧島おろし」が、大根の寒干しに理想的な環境を作り出している。茂さんによると、昔はこの地域の農家のほとんどが大根を生産し、冬になると、畑という畑にやぐらが並んでいたという。
そういったこともあり、西小林人にとって、霧島山を背景に真っ白なやぐらがそびえ立つ風景は、冬の訪れを知らせる風物詩。今では数も減ってしまったため、大山さん宅にあるやぐらは、地元の貴重な伝統として、親しまれている。
また、にっこばまちづくり協議会が企画する大根の収穫体験や、寒干し作業の見学を受け入れるなど、地域活動にも積極的に関わっている。「自分たちの仕事を知ってもらうことで、またやる気が出る」と功師さん。目も回るような忙しさの中でも、一家の表情は今日も充実感にあふれている。(「広報こばやし」平成27年1月号掲載)