こばやしのヒト

宮崎県小林市の須木という地域には、『洋菓子工房プチ・パリ』というお菓子屋があります。

プチ・パリのこだわりは、「買ってでも食べたいと思うお菓子をつくる」こと。

店主の前原さんのお話からは、地域の人々、二人三脚で仕事をしているお父様への深い感謝を感じました。

つくりたいお菓子は「自分がお金を出してでも食べたいもの」


── 正直な第一印象を言うと、お菓子屋には見えない店内だなと思いました。ビールのポスターが貼ってあったり、お酒に合いそうなおつまみが並んでいたりで。

前原宏美(以下、前原) お菓子屋さんとしては、あまり普通ではないかもしれませんね。甘いお菓子だけを作るのではなく、辛いお菓子も作ってしまおうとするのがプチ・パリです。

── 商品を考えるときの基準はありますか?

前原 自分が買ってでも食べたいものかどうか、です。そうじゃないと作っていて楽しくないじゃないですか。

人気商品は「栗トリュフ」ですね。

「栗トリュフ」ともうひとつ、クリスマスの予約限定で出している「くりのままで」も人気ですね。


実演販売の手伝いとともに育っていった夢

── 自分のお店を持ちたいと思ったきっかけは、何だったんですか?

前原 高校生の頃から、父の実演販売を手伝っていたんです。

父と一緒に、実演販売を経験するうちに、「自分のお店を持ってみたい」と思うようになりました。

前原 けれど、実演販売は子どもと一緒にいる時間を減らしてまでをやりたいことではないなと思いました。

もちろん、実演販売は良いところもたくさんあります。たとえば、お客さんの率直な意見を直接聞ける場を持っている。そこで得た意見をもとに商品を改良していけるのは、うちの強み担っています。

地域の人たちとの、持ちつ持たれつの関係

前原 うちは栗を使った商品が多いじゃないですか。地域の方が提供してくれている部分が大きいんです。

── 地域と心地いい関係を続けていく秘訣は?

前原 お互い様、みたいな意識を持つことじゃないですかね。田舎では「してもらったら返す」というのが基本。助けてもらったら、次は別の形で返すんです。


前原 結構、遠方から来るお客さんが多くて。

次は、そういった方々におもてなしができるような古民家カフェを作れたらいいなと思っています。夢を大きく持っています。



前原宏美さん