こばやしのヒト
小林市の市街地から宮崎自動車道へと向かう道の途中、小林ICの少し手前に「出の山公園」はあります。出の山池に面した公園の周りには鯉・マス・チョウザメ料理店がいくつかあり、その中にあるのが野菜ビュッフェ「ツナギィーナ」です。
橋本さんご夫妻の営むTSUNAGU株式会社は、障がい者総合支援法に基づく福祉サービス業の会社。取材を行ったツナギィーナは就労継続支援事業で、約15人の障がい者の方が働いているそうです。
和弥さんは、お父さんが社会福祉法人を経営されており、その跡取りとして育ちながら、紆余曲折を経て起業します。辛いこともあった中で、それでもおふたりは「この道でよかった」と語ってくれました。
はじめに会社としてTSUNAGUが行っている事業について教えてください。
左・橋本和弥さん、右・橋本紗耶香さん
和弥 私たちは株式会社として、障がい者就労支援をメインに行っています。厚生労働省管轄の事業で、障がい者の方が働くことを支援するサービスです。このレストラン「ツナギィーナ」とは別に農業もやっているのですが、そこで野菜を育てたり畑を耕したりする仕事を提供し、ここで得た収益はご本人たちの所得に反映します。
障がい者の方をバックアップするためには、事業としておしゃれで、美味しいお店をやらなくては工賃向上に繋がりません。利用していただく障がい者の方々も、お客さんが来ないところで訓練──名目としては訓練と呼ぶのですが──したくないでしょう。農業も、雇用を生むために行っていることですから、生産性のある技術を身につけられる農業じゃないと継続できませんし、意味がありません。自分たちの農園やレストランの経営をしながら、その基盤や仕組みづくりを行っている最中です。
「つなぐ農園」の畑(画像:TSUNAGUの公式Facebookページより)
ランチビュッフェでは、5種類のピザが食べ放題
紗耶香 たえとえば利用者の中には、耳が聞こえない方や、話せない方もいます。その方たちは草取りをすることができても、終業時間になると呼びかけるだけではこちらの声が聞こえなくて、気づかないこともあります。でも、終業の合図だったり、肩を叩いて「終わりですよ」と伝えることで認識できます。根本的に、できないことは無理にお願いせず、潜在能力を活かすのが私たちの仕事なんです。
橋本 和弥さん
1981年3月19日生まれ。福岡県久留米市出身。TSUNAGU株式会社、代表取締役。職業指導員。
橋本 紗耶香さん
1978年7月24日生まれ。宮崎県小林市出身。TSUNAGU株式会社、取締役。職業指導員。