こばやしのヒト
宮崎県小林市の暮らしを伝える特集。祖父が始めた観光農園の仕事を、父が継ぎ、そして順番が回ってきた宮崎県小林市出身の小原勇太さんには、本当は就きたかった職業があったそう。しかし描いた道には進まず、果樹農家の3代目として家業を継ぎ、梨とぶどうの生産と観光農園を経営しています。
それでも果樹農家の仕事を続けられる、仕事の一番モチベーションになるものはなんですか?
小原 ありきたりな答えですけど、良いものをつくりたいっていうことかな。粒が大きくて、糖度も高い梨やぶどうができた時はうれしいですね。
そんなうれしさがあるからこそ、今はね、家業を継いで良かったと思っていますよ。いざ農業をやってみたらいつの間にか楽しくなってきましたし。
バイクの整備士になりたかったけれど。
小原 ハーレー(ハーレーダビッドソン)に乗りたいと思っているくらいバイクが好きですけどねぇ。でも今は農業の方が好きになっていますね(笑)。
どうしてですか?
小原 バイクの整備士やったらバイクの整備しかできんわけじゃないですか。対して農業って、自分でなんでもできる。梨とぶどう以外の果物や野菜を育ててもいいわけです。観光農園と直売所は販売のことを考えないといかんし、農業やったら農作業用の機械を使いやすいように改造したり、壊れれば修理したりもしますしね。
農業はずっと土をいじっているように見えることもありますが、むしろやることはたくさんありますよね。さいごに、小原さんが考える農業の楽しさについてお聞きしたいです。
小原 自分が1年間、心を込めて手入れしてきた成果が出るからこの仕事はおもしろいですね。果樹は1年に1回だけの収穫やから大変なんですけど、一回おいしい梨とぶどうができたら、次の年も頑張ろうって思える。そういう結果の積み重ねで、農業が楽しくなってきたんですよ。
だから俺と同じように家業を継ぐとか、もともとは望んでいない仕事を引き受けるかもしれない時には、流れに身を任せてみればいいと思います。いざやることになっても、その仕事に打ち込めばきっと結果が出て、楽しくできる日がくるはずですから。
取材を終えて、小腹さんが積み重ねてきた努力を感じられる、みずみずしくて本当においしい梨をいただいた
小原 勇太さん
家業を継ぎ、梨とぶどうの生産と観光農園を経営する果樹農家の3代目。仕事の一番モチベーションは「良いものをつくりたい」という想い。