こばやしのヒト

「仕事は福祉タクシーの運転手。だけど自分のことを、看護師だと思っています」
宮崎県小林市で『福祉タクシー きずな(以下、きずな)』を営む四位純徳さんは、ご自身のことをこんなふうに語ります。


そんな四位さんがいつも大切にしているのは、看護師の精神。
尊敬する父と約30年の看護師としてのキャリアが、四位さんなりの“寄り添う”を形づくっていきました。
(以下、四位純徳)
二千円をもらった日が開業記念日

福祉タクシーをはじめたのは、50歳のときのことです。

私がなにかを提案して人を呼び寄せるんじゃなくて、困っている人がいたらその人が求めていることをただ手助けする。そんな福祉タクシーを目指してスタートしました。

父の姿と看護師の精神

そもそも看護師という仕事に就くことを考えたのは、父の影響です。
父はずっと障害を持っていました。「看護師さんだったら、その人の病気をわかるだろうし、その人の心にも寄り添うことができるだろう」と看護師さんと関わる父を見て思ったんです。

92歳のおじいちゃんと、お墓探しの旅

きずなを開業した次の年のことです。
宮崎市内の司法書士さんからご紹介いただいたおじいちゃんとふたりで、ご先祖さまのお墓探しの旅が始まりました。

けっきょくその方がお亡くなりになるまで、一緒にお墓参りに通い続け、1年半にわたるお付き合いをさせていただきました。

こんなふうに、きずなは一回きりのご縁だけでなく、いただいたご縁を続けていけるように利用者の方、その家族や近しい方々と関わっています。

福祉タクシーという道を選んだのは、「看護師として、もっと目の前の人の想いを達成するためにできることをしたい」という気持ちがいちばん大きかったからでした。

「いつでも支えてくれる人がいる」と思ってもらえたら

きずなは昨年から、民泊事業もはじめました。「福祉タクシーでつながったお客さまの、家族とすごす時間が深まったらいいな」という想いからです。



何かあったらすぐに対応できる。それは僕が看護師だからできることだと思っています。

自分たちのような福祉タクシーを利用してもらうことで、「お客さまがそれまでできなかったことを、もっと達成できるようになったらいいな」という気持ちです。



四位純徳さん